
最近、「退職代行を使って辞めました」という話を耳にすることが増えてきました。
SNSでは「退職代行でスッキリ退職^^」なんて爽快な投稿も見かけますが、企業側からすると、突然退職代行会社から「○○さんは退職の意思を示しています。以後の連絡は弊社が代行します」と連絡が来るわけです。
さらに「退職は2週間後(←民法意識)で退職日まで有休を消化します。」
「体調不良で出勤できません」
などの理由があがり、退職代行の連絡があった日以降、出勤してきません。
「引継ぎは◎◎にデータ保存しています」「カギは郵送で送ります」などのきっちり(ちゃっかり?)しているパターンも・・・。

え?え?え?
昨日まで普通に出社してたよね?
お弁当一緒に食べたよね??
退職の“た”の字も出てなかったよね???
そんな感じで、企業側は軽くパニックになります。
ちょっと裏切られた感じ、寂しい感じ、腹立たしい感じ、・・・いろんな気持ちがグルグルします。
退職代行は、現代の“辞めますボタン”
退職代行とは、本人に代わって退職の意思を会社に伝えてくれるサービス。
「辞めます」と言うのが怖い、気まずい、面倒くさい――そんな気持ちを代弁してくれる、いわば“辞めますボタン”です。
でもこのボタン、押された側は結構な衝撃を受けます。

「え、うちってそんなに辞めづらい会社だったの?」「え、何か言いづらい雰囲気あった?」
「え、私の顔が怖かった?」「なんで直接言ってくれなかったの?」
「そのサービスに◎万円払ってまで、自分で退職を伝えるのは難しかった?」
社労士的視点:退職代行は“職場の健康診断”
退職代行を使う人個人の問題もあれば、使われる職場に、何かしらの“言いづらさ”がある場合もあります。
- 社長や上司が怖い
- 退職を言い出すと引き止められる(気がする)
- 辞める理由を根掘り葉掘り聞かれる(気がする)
- 精神論を熱く語られる(気がする)
- 怒られる(気がする)
退職代行を使われた会社が必ずしも“悪い会社”というわけでもないと思います。
むしろ、ちょっとしたすれ違いや、コミュニケーションのタイミングが合わなかっただけかもしれません。
退職代行が使われたとき、社労士として企業に伝えたいのは「現状を見直す良いチャンスと考えを切り替えませんか?」ということ。
- 退職を言いだせない雰囲気になっていなかったか?
- 辞める人に「今までありがとう」と言える文化だったか?

もちろん、社長の退職しないでほしい気持ち、イタイほどわかります・・・。
しかしながら退職を決意してしまった人を強引に引き止めることは難しいと思います。
去る者追わず、ではないでしょうか。(頭では分かっていても・・・でしょうけどね!)
それよりも、この職場にずっと居たい、と思われるような職場づくりができると、そもそも退職者も減り、退職代行も使われないのではないか、と思います。





