毎年10月は最低賃金の改定月。
従業員さんにとっても、企業にとっても大きな節目となるこの時期、今年は特に注目度が高まっています。
というのも、2025年度の最低賃金は過去最大の引き上げ幅となりました。
全国で全て1,000円超え!
自分が学生の頃と比べると・・・・(笑)うらやましい限りです。
とはいえ従業員さんは「まだまだ低い!」と思っていらっしゃるでしょうけどね・・・。
経営者サイドとの温度差を感じます。
話を戻します。
関西エリアの2025年度の最低賃金

- 兵庫県:現在の1,052円→1,116円へ(+64円)令和7年10月4日改定
- 大阪府:現行の1,114円→1,177円へ(+63円)令和7年10月16日改定
- 京都府:現行の1,058円→1,122円へ(+64円)令和7年11月21日改定
- 奈良県:現行の986円→1,051円へ(+65円)令和7年11月16日改定
いずれも上記2府2県では、63円以上の大幅な引き上げとなっており、地域間格差の是正と生活水準の向上を目指す動きが加速しています。
最低賃金は誰に関係ある?
最低賃金は、時給制のパート・アルバイトだけでなく、月給制の従業員にも適用されます。月給を時給換算した際に最低賃金を下回っていれば、法律違反となるため企業側も注意が必要です。盲点となりやすい部分なので注意が必要です。
どうやって確認する?
時給であれば簡単にチェックができますが、時給ではない場合はどのようにしてチェックをするのでしょうか?
このようなご質問をこの時期によくお伺いします。
下記の様に計算して確認します。
(1) 時間給制の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
(2) 日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(3) 月給制の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。
(5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合
例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。
手当はどこまで含めることができるの?
例)
基本給 150,000円
固定残業代 30,000円
家族手当 20,000円
皆勤手当 20,000円
通勤手当 20,000円
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合計 240,000円
1か月平均所定労働時間を170時間とした場合。事業所の所在地は兵庫県とする。
①150,000円÷170時間=882円 ⇒正しい計算
②240,000円÷170時間=1, 411円 ⇒誤った計算

①が正しい計算例となります。
この場合、兵庫県の2025年10月からの最低賃金1,116円を下回るので違法となります。
②のように、最低賃金を計算する際に含めてはいけない手当があります。
「月給だから最低賃金は関係ない」というものではなく、毎年確認作業が必要となります。
特に毎年ドンドン最低賃金が上がって行っているので、油断していると月給で最低賃金を下回ることも十分考えられます。
また、最低賃金改定に伴い給与を改定した場合は、残業単価も変更になりますし、社会保険の随時改定に該当する可能性もあります。
1つ変更することで、手続き等に派生することもあるので、様々なことに気を配らなければなりません。
最低賃金改定については中小企業にとっては、厳しい現実です。
最低賃金の上昇は企業にとって負担ですが、同時に「働き方」を見直す機会でもあります。
「長い時間働く」より「効率よく働く」へ
最低賃金が上がる今、ただ長く働くだけでは企業も従業員も疲れてしまいます。
これからはより一層、「仕事の質」を高めて、ムダな時間を減らすことが課題なのではないか、と思います。
たとえば、毎日やっている作業の中に「本当に必要?」と思うこともあるかと思います。
日々の業務の中のやり方を少し見直すだけで、ムダな時間が減って、働く人の負担も軽くなります。
「時間をかける=がんばっている」ではなく、「効率よく働く=時間をうまく使う」ことを意識しながら、生産性を高め、会社も従業員もWINWINな環境づくりを大切にしたいですね。



